M-Designの独り言  (宝塚、エムデザイン一級建築士事務所のブログ)

宝塚の建築設計事務所 所長の日々考えること、感じたことを綴ったブログです

姉歯事件、耐震偽装

姉歯秀次・元一級建築士(53)=実刑確定=による耐震強度偽装事件で、強度不足が判明した愛知県半田市のビジネスホテル「センターワンホテル半田」の運営会社が、建築確認を怠ったなどとして、県とコンサルタント会社「総合経営研究所」(東京)などを相手に約2億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、名古屋高裁であった。岡光民雄裁判長は「建築確認で県に過失があったとは言えない」として、県の責任を認めて賠償を命じた一審名古屋地裁判決を変更し、県への請求を棄却した。 一方、同研究所には一審同様、選定した設計会社への監督責任があったと認定。県と同研究所などに計約5700万円の支払いを命じた一審判決を変更し、賠償額を約1億6100万円に増額した上で、同研究所にのみ支払いを命じた。 建築主が建築確認審査の過失を問う同種訴訟では、名古屋のほかに前橋、東京、奈良、京都、福岡の5地裁と大阪高裁で判決が出ているが、行政側の過失を認めたのは名古屋地裁のみという。岡光裁判長は「当時の建築審査に関する法令は、規定を順守した設計が建築士により行われていることを前提とし、建築確認に多くを要求していなかった」と述べ、「県が誤った耐震設計と判断しなかったのは、注意義務違反に当たらない」とした。判決によると、同ホテルは愛知県の建築確認を経て着工。2002年に開業したが、05年に耐震強度不足が判明したため、原告はホテルを建て直し、07年4月に営業を再開した。)NKKEI NETより 

この判決聞いただけでもおかしい。詳細は不明なので多くは言えないけれど。建築確認で県に重大な過失があったと考えるのが妥当だろう。
違法行為を見逃しておいて、過失がないなんで考えられない。
役所は性善説を取るのかという問題でもある。それなら、役所の審査は必要なくなるのではないか。
コンサルタント会社は当然、責を問われるべきであろうけど、損害賠償額が2億円というのはどこからでてきたのだろうか。
ホテルを建て直したとすれば、5億以上のコストがかかっているはずである。

人々の頭の中から、姉歯事件は消えつつあるけれど、毎日のように建築確認申請が提出され、認可されているのである。
適切な判決をしないと、変な判例となって今後の役所指導課、建築主事、の役割が明確になっていかないのではないだろうか。