宝塚教会

宝塚に越してきた時は、この教会は灰色だった。
しばらく灰色だった。
村野藤吾の名作が、電車が行きかう横で、灰色の、今にも水が漏れそうな
そんな感じでたたずんでいた。
いつも電車から見ていた。
最近だ、塗り替えられたのは、竣工当時の色なんだろう、真っ白に。

ふと足を止めて、教会の庭に向かった。
なんて、美しい稜線なんだろう、そして軒の先の美しいカーブ。
その繊細な壁から切っ先へと至る、カーブは感動する。
言葉にならないといったほうがいいのだろうか。
このカーブを見切れる人がいたんだ、このカーブはどうやって見切ったんだろう。職人を前にして、説明したのだろうか。
巨大な模型で、検討したのだろうか。
いや、模型では、読み取れない。
Ｒの湾曲した内部に入り込まないと、これは見切れない。
現場での検討につぐ、検討かな。
あるいは、村野藤吾の天才たる、所以であろうか。

いい物を見た。